What is IQ?

IQについての概論

IQとは、個人の知能が仲間集団の人たちよりどれだけ高いか、あるいは低いかを示す標準的なスコアの一種です。 仲間集団のスコアはIQ100となります。 これは、あらゆる社会経済的階層に属する膨大な数の人々に同じ検査を実施し、その平均値を取ることで得られる値です。

「IQ」という言葉は、1912年に心理学者のウィリアム・スターン(William Stern)がドイツ語のIntelligenzquotientにちなんで作った言葉です。 当時IQは、精神年齢の暦年齢に対する比率×100で表されていました。 つまり、暦年齢10歳の人の精神年齢が10歳であれば、その人のIQは100とされていました。 一方、精神年齢が暦年齢より高い場合、たとえば10歳ではなく12歳の場合、IQは120とされていました。 また精神年齢が暦年齢より低い場合、IQは100より低い値となっていました。

現在のIQテストが開発された当時、正規化サンプルの平均点をIQ100とし、標準偏差(平均的なばらつきを表す統計学的な概念)よりも上か下か、たとえばIQ100よりも16点大きい、または小さい値、あるいは24点大きい、または小さい値などと定義していました。 メンサは、人口の上位2%のスコアを持つ個人の入会を認めており、さまざまな検査の結果を受け入れています。 ただしこれらの検査は、標準化・規格化され、専門の心理学者らが所属する学会によって承認されていることが必要です。 もっともよく知られているIQテストとして、「スタンフォード・ビネ(Stanford-Binet)」と「キャッテル(Cattell)」の2つが挙げられます(以下に詳しく説明します)。

知能の測定 – 偉大な貢献者

フランシス・ゴルトン卿(Sir Francis Galton)

フランシス・ゴルトン卿は、1884年に現代的な知能検査の考案を最初に試みた科学者です。 彼が開いた研究室では、視力や聴力、さまざまな刺激に対する反応時間などが測定されました。

ジェームズ・マキーン・キャッテル(James McKeen Cattell)

1890年にジェームズ・マキーン・キャッテルが開発した世界初の知能検査もまた、ゴルトンと同様な課題で構成されており、その大半が知覚の速度と正確さを測定するものでした。 しかし、このような課題で学力を予測することはできないとすぐに明らかになりました。 つまり、私たちが知能と呼ぶものを測るには不完全な評価基準であったと考えられています。

アルフレッド・ビネ(Alfred Binet)

最初の現代的なIQテストは、1905年にアルフレッド・ビネによって開発されました。 ゴルトンとは異なり、彼の研究は科学的探究を目的として実施されたわけではありませんでした。 それよりもむしろ、全国民に義務化されたばかりの当時の教育制度において、周りについていけない子どもたちを見極めるという非常に現実的な意味合いを帯びたものでした。

ビネの検査は、知識を問うものと単純な論理的思考を問うものとで構成されていました。 ビネは、検査項目の他に、外的な妥当性基準を必要としており、そうした基準を年齢に見出しました。 確かに、発達のスピードにはかなりの差がありますが、一般的には、年齢の高い子どもの方が年齢の低い子どもよりも認知能力が高い傾向があります。 そこでビネは、各項目の問題を解くことのできる子どもの平均年齢を割り出し、それに合わせて項目を分類しました。 このようにすることで、彼は、子どもたちが仲間集団と比較してどのような位置にあるのかを推定しました。 たとえば、ある子どもが、2歳上の子どもが平均的に解ける問題を解けたとすれば、その子どもの知能は2年進んでいるとされました。

ウィリアム・スターン(William Stern)

その後にウィリアム・スターンが、より正確なアプローチを提案しました。 検査の成績から推定される年齢から実年齢を引く代わりに、前者(「精神年齢」と呼びます)を後者で割る方法を提案したのです。 こうして、有名な「知能指数」(IQ)が誕生し、「(精神年齢)/(暦年齢)」と定義されました。 実際に、こうした計算方法は、他の知的パフォーマンスの推定値との一致度がより高いことが判明しました。 たとえば、8歳の子が6歳の子と同じレベルの成績を収めた場合、ビネのシステムでは、6歳の子が4歳の子と同じレベルの成績を収めた場合と同じ推定値になります。 しかしスターンのシステムでは、4/6<6/8となり、6歳の子の方に割り当てられるスコアの方が低くなります。 経験上、この2人が10歳になったときに、現在8歳の子の方が現在6歳の子よりも認知的な課題に対して上手に対処できる可能性が高いことがわかっています。 したがって、スターンの手法の方が有効であると言えます。

ルイス・タ―マン(Lewis Terman)

IQテストが本格的に成功を収めたのはアメリカにおいてでした。 アメリカでは、ルイス・ターマンがビネの検査を改良した上で、元の検査よりもはるかに精度の高い基準を考案し、スタンフォード・ビネ(Stanford-Binet)検査として発表したのです(ターマンはスタンフォード大学(Stanford University)の心理学者でした)。 彼はさらに、その結果を100倍することにもこだわったため、IQの最終的な計算式は「(精神年齢)÷(暦年齢)×100」となりました。 確かに、IQ1.3よりも、IQ130の方がはるかにインパクトのある響きになります。

しかし、この手法は子どもにしか効果がありませんでした。 もし、ある子の親が、自分の6歳の子がすでに平均的な9歳の子の知的能力を持っていて、IQが150だと言われたら、その親は大喜びするでしょう。 しかし、その子の祖父が、「60歳という年齢にもかかわらず、認知能力は平均的な90歳の人と同じくらいだ」と言われたら、褒め言葉としては受け取れないことでしょう。 当然のことながらこの指数は、ビネの当初の基準が作用する年齢層においてのみ、すなわち、年齢が高いほど能力も高くなると言える年齢層においてのみ有効です。 言い換えれば、知的な成長が見られなくなるとき、この手法は妥当性を失うのです。

デイヴィッド・ウェクスラー(David Wechsler)

デイヴィッド・ウェクスラーは、成人のIQの算出の問題を、単に個人の成績を検査スコア分布(正規分布)と比較することによって解決しました。 彼のシステムでは、スコアが当該年齢グループの平均に等しい人のIQを100としたのです。 そうすれば、元のシステムの平均的な子どものIQと同じように、平均的な大人のIQも100になります。 彼は、正規分布の統計的性質を活用し、ある人のスコアがその人と同じ年齢群の人のスコアと比較してどの程度上下するかによって、IQスコアを割り当てました。 たとえば、スコアが平均よりも標準偏差1つ分高く、同じ年齢群の人たちの86%を上回る人のIQは115となります。

今日のIQテスト

では、算出方法で何も割らないのに、なぜ「IQ」、すなわち「商(quotient)」と呼ばれるのでしょうか?理由は単純で、IQという概念が普及しすぎて、その言葉を捨てられなくなったためです。そうだとしても、成人におけるIQの場合、まったく「商」としての性質を持たないのは興味深いところです。成人においては、知能検査で他の人と比べてどれだけ優れた結果を出せるかを示しているのです。IQテストの拡大と並んで、IQテストの発展に大きく寄与したのがグループ検査の開発でした。それ以前は、資格を有する心理学者が一人ひとりを個別に検査するという手法が用いられていました。最初のグループ検査はアメリカ軍のために開発されましたが、瞬く間に学校や職場などに広まり、心理学の最大の成功例の1つとなり、今なお高く評価されています。

※注1:合否判定に使用する試験・検査方法は、各国のMENSAで異なる場合があります。
※注2:合格となる具体的なIQ値や合否判定の基準は非公開となっています。